文化財科学研究拠点

人類共通の財産である文化財に関する科学調査及びデータ活用技術の実践的研究
文化財科学とは、人類共通の財産である文化財を次世代に伝えるため、それが内包する価値を顕在化するとともに、破壊・破損・劣化後の修復保存に役立つ調査・診断を行う学問である。ヨーロッパ諸国では、公的資金による文化の保護と振興の必要性が広く一般に理解されている上、文化財科学や考古学は応用物理や地学など研究費を獲得しやすい技術系の分野として扱われている。日本では文化財科学は人文系のため、大きな設備予算の必要な実験系の研究は極めて困難である。一方、人材・設備のある技術系の研究機関では文化財関連の研究をプロジェクト化しにくく、研究者の個人的な興味に基づいて貢献する程度の活動に留まっている。
文理融合の研究を推進する基盤がある横浜国立大学において、人文系・技術系が文化財を研究対象として協力することにより、日本における文化財科学という学問のあり方を検討しつつ、科学技術を文化の継承に役立てるための系統立てた研究を進められる。さらに将来、人類学的な情報を統合することにより地球上の文化を時空間で俯瞰する新しい学問分野へ発展させることができる。